全員参加による地域未来創造機構では2023年度に20のアソシエーションにヒアリング調査を行いました。その内容をアソシエーション情報でご紹介します。(情報は取材時のものになります)
2011年6月横浜市青葉区にて設立
公立学校でなじめず、苦労している子どもたちに対して、学校ではできない方法で支援する。
活動内容:フリースクール(週4日)、子ども食堂(月1回)
校長:渡辺正彦さん
取材日:2023年7月29日
取材者:数寄真人(NPO法人全員参加による地域未来創造機)、野村美湖(かわさき生活クラブ生協)
1.設立(経過、問題意識等)・・・・
・2011年6月16日設立。
・「みどりの学校ひまわり」の設立者の渡辺さんは、青葉区のさつきが丘小学校で9年間校長を務めた。そのとき、休み時間に子ども達に校長室を開放し、スマートボールや段ボールハウス、ポケットベルでのホットライン等をつくり、いつも20~30人が校長室に来ていた。この子たちは、校長とは会話するが、子どもどうしの会話はなかった。
定年になる時、地域の人に集まってもらい報告会を行った。学校で苦戦している子どもたちと出会って、支援を試みたが、公立学校という決まりの中、やり残したことがあったという報告をしたら、地域の人たちから「応援するから自分の学校をつくったら」という後押しがあり、設立に至った。土地や建物は、後押ししてくれた造園業者の方の物を借り、作業小屋を自分たちで改装して設立にこぎつけた。
2.施設・・・・・・・・・・
施設は、学校(学習室、ゲーム部屋、屋根裏読書室、集まれる部屋(2つ)、屋根裏鉄道模型部屋等)とひまわり農場(約300坪、烏骨鶏20羽、リクガメ1匹)があり、農場を含めると結構広い。
3.活動内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1)設立理念
公立学校ではできない手法での子ども支援/地域の子どもは地域で育てる/個性尊重(子どもの苦手分野を無理して伸ばすのではなく得意分野を伸長)/金のかからない教育、全てボランティアによる活動
2)通ってきている児童・生徒
・約50人 1日の登校者数 約15人
・不登校の児童・生徒が98%。大半はADS(自閉症スペクトル)やアスペルガーにあてはまり、4割はADHD(多動症)。具体的な目標設定がないと困る、人間関係をつくることが苦手な子が大半。
3)みどりの学校で重視していること
・「ソーシャルスキル」の構築を一番の目標とする。
・児童を孤立させない、自主性を尊重し、自分のやりたいことをやるようにしている。
4)活動日と時間
月、水、金、土 10時~14時30分
5)ひまわりの1日
10:00~10:30 プレスクール マンツーマンの学習指導 本人と親の希望による 現在4~5名程度
10:30~12:00 自立活動の時間 マイアクション活動(調べ、研究等)、農業、飼育、ゲーム、居場所 等
「自由に遊んでいいよ」=やりたいことをやる。
12:00~12:20 昼食 20分で食べることを目標としている お弁当は自分で持ってくることが基本
勉強部屋。
希望者はここで勉強。辞書・参考書などは全て寄付。
12:20~12:30 食後のミニレクリエーション(主にカードゲーム)
12:30~12:50 校長タイム ソーシャルスキルの構築を目的に 話し合いのルール確認(相手の目を見る、話は最後まで聞こう等)、ディベート、ブックトーキング、マインドフルネスなど
12:50~13:15 自立活動の時間
13:15~14:00 フィールド活動の時間 縄跳び、ドッジボール、鬼ごっこなど *種目、活動目標はこどもたちが決定
14:00~14:15 自立活動の時間
14:15~ 清掃、帰りの会
6)学費
全日制月額3,000円、週1コース月額1,000円、入学金1,000円、兄弟割引あり(全日3000円→2000円)
7)ボランティア数
約25人
4.ヒアリング担当者の所感・・・・・・・・・・
12年間活動を続け、みどりの学校の広報「ふれあい」は10年近くしらとり台自治会で回覧され、多くの地域住民に知られる取り組みとなっています。保護者・ボランティアは養鶏農業部会・行事部会など6つの部会のどれかに参加し、行事部会は月1回の子ども食堂を開催しています。最大の課題は今後、中心になって活動を続けていく人をつくっていくことでした。
(数寄真人)
ゲーム部屋。7~8人集まれる部屋と勉強部屋の間
左から取材者野村、小菅コーディネイター、渡辺校長
屋根裏部屋。
狭い階段を上ってたどりつく漫画がいっぱいおいてある部屋。